
企業活動の本質は、どの時代も「人と人との信頼」です。製品の品質や価格だけでなく、どれだけ深く信頼関係を築けるかが最終的な意思決定を左右します。その信頼の裏側には、単なる取引を超えて「企業の理念」や「ブランドストーリー」に共感を得られるかという要素が大きく関わっています。
この“信頼を生み出す体験”をデザインする手段として、近年注目されているのが企業ホスピタリティ(Corporate Hospitality)です。懇親会、報奨旅行、レセプション、チームビルディングなど多様な形がありますが、共通しているのは「人と人の距離を近づけ、信頼を深める」ことを目的としている点です。
そして今、特に急速に拡大しているのがスポーツホスピタリティ(Sports Hospitality)です。
スポーツホスピタリティとは、スポーツイベントを通じて顧客や社員、パートナーと“特別な体験”を共有する企業ホスピタリティの一形態です。アメリカではこれらを「Strategic Relationship Asset(戦略的関係資産)」と呼び、企業が関係性を深化させるための“体験型投資”として捉えています。
米国のスポーツホスピタリティ市場は拡大を続け、2024年時点で約13億ドル、2032年には150億ドル規模に達する見込みです(出典:Fortune Business Insights)。
グローバル市場に対して北米は約40億ドルで全体の約33%を占め、企業ホスピタリティ市場の中で最も成長率の高い分野となっています。 NFL・NBA・MLB・NHLなどのメジャースポーツに加え、F1、オリンピック、ワールドカップなどの国際大会もこの市場を牽引しています。
出典: https://www.fortunebusinessinsights.com/sports-hospitality-market-113100
アメリカでは、プロスポーツを活用した顧客招待や従業員表彰といった“スポーツホスピタリティ”が、多くの企業で自然に取り入れられています。なかには、VIPスイートや特別シートを年間契約する企業もあり、従業員のモチベーション向上や顧客ロイヤルティの強化など、投資以上の効果が得られることがその理由として挙げられます。スポーツという非日常の体験を共有することで関係性が深まり、新たなビジネス機会につながるケースも少なくありません。
代表的な例として、American Express(アメリカン・エキスプレス)は「USオープン・テニス」において、カード会員向けにVIPラウンジやスイートを提供しています。観戦だけではなく、食事やドリンク、ブランド体験を組み合わせた“体験型ロイヤルティ施策”として設計されており、顧客との関係深化に大きく貢献しています。
とはいえ、大規模な投資が必須というわけではありません。MLB、NBAなど馴染みのあるイベントで“小さな特別体験”を提供するだけでも、顧客との距離が縮まり、社員のエンゲージメント向上に十分つながります。
実際に製造業、特に自動車関連・機械・電機・半導体などを中心とする産業分野ではスポーツホスピタリティが組織の一体感を生みだす企業施策として位置づけられ、インセンティブイベントや代理店表彰として広く活用されています。社外エンゲージメントの観点からは代理店等との関係強化による販売促進が見込まれ、社内エンゲージメントの点からは、従業員の士気を高めることにより生産性を上げる効果が期待できます。また、前述のAmerican Expressの事例にあるように、金融・保険業界でもスポーツホスピタリティは、会員、投資家、販売員、代理店等のエンゲージメント向上策として、幅広く取り入れられています。
並行して、好きなチームや選手を応援するために旅行する「スポーツツーリズム」等、スポーツを中心にした人の流れも、急成長しております。
Key idea: スポーツホスピタリティの本質は、快適さを提供することではなく「感情を共有すること」にあります。ホテルサービスのような“おもてなし型”ではなく、勝敗・感動・ドラマといった感情を共に体験する場である点が最大の特徴です。
スポーツ観戦では、観る人すべてが“同じ瞬間”を共有します。その共感体験が文化や立場、言語を超えた感情的信頼(Emotional Trust)を生み出し、契約や言葉では築けない関係性を深めます。
特にアメリカでは、“Business is built on experiences, not just contracts.(ビジネスは契約ではなく体験によって築かれる)”という考え方が根付いています。
つまり、スポーツホスピタリティは単なる観戦招待ではなく、企業の信頼資本を育てる「戦略的関係資産(Strategic Relationship Asset)」となるのです。顧客・社員・パートナーが同じ空間で感動を共有し、価値観を感じることで、長期的な信頼関係を築く“投資”なのです。
JTB USAは、60年以上にわたるホスピタリティとイベントマネジメントの経験をもとに、企業の目的に合わせた戦略的スポーツホスピタリティプログラムを設計・提供しています。
JTB USAが大切にしているのは、「どんな体験を提供するか」ではなく「その体験がどんな関係を生み出すか」。まさに“Return on Relationship(関係資本の投資効果)”を最大化する考え方です。
JTB は、MLBやドジャースとのパートナーシップを通じて、より特別なスポーツ体験を提供しています。その一環として、2026 World Baseball Classic™におけるオフィシャルホスピタリティプログラムの販売権利をを取得。スポーツ観戦とビジネスホスピタリティを組み合わせたホスピタリティパッケージ(World Baseball Classic Experiences) を企業・団体向けに展開しています。2026 World Baseball Classic™/ World Baseball Classic Experiencesは、単なるイベントにとどまらず、共感を軸に国内外の顧客・代理店・従業員など、あらゆるステークホルダーとの関係を深める特別な体験の場を提供します。
JTB USAでは、アメリカ代表チームやメキシコ代表チームを中心に、各種プランをご用意しております。 詳細は以下までお気軽にお問い合わせください。
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