
アメリカ市場への進出を目指す日本企業にとって、展示会(Trade Show)出展は有力なビジネスチャンスです。 CES(ラスベガス)、BIO International、IMTS(シカゴ)など、世界中の業界関係者が集まる大型イベントでは、 バイヤー、パートナー、メディアと直接つながる絶好の機会となります。
一方で、ブースデザイン、ブース施工、物流、スタッフィング(ブーススタッフや通訳等)、社員の移動や宿泊、 イベント中のトラブル対応など、多くの要素を一体的に管理する高度なマネジメントが欠かせません。 日本の展示会と同じ感覚で進めると、想定外のコスト増やトラブルにつながるリスクもあります。 アメリカの展示会はルール、スケジュール、労働慣習、安全基準などあらゆる面で日本と異なります。 本記事では、JTB USAの現場ノウハウと実績をもとに、 出展準備・規制・コスト・現地サポート・フォローアップの視点で 「米国展示会で失敗しないための5つのポイント」を解説します。
結論:日本よりも早めのスタートが成功の鍵。申込みから当日までの期間が長く、早期割引(Early Bird)や提出期限が多く設定されています。
国内展示会では、運営事務局が相談窓口として効果的に機能しており、指定施工会社によるサポート範囲も広いため、開催の3〜4か月前から準備を始めても十分間に合うケースが一般的です。
一方でアメリカの展示会では、ブース施工、電力、通信、輸送、スタッフィングなどがすべて個別契約となります。FreemanやGESといった大手業者は存在するものの、日本のように包括的なサポートを提供しているわけではありません。そのため、契約先が多くなる分だけ準備に要する時間も長くなります。 さらに、後述の通り、労働組合(Labor Union)との調整や通関手続きなど、思うように進まない要因も多く、スケジュールには余裕をもつ必要があります。こうした背景から、早期の準備と発注が不可欠です。 又、主要展示会では、当年の開催終了直後に翌年のブース申し込みが始まることも多く、より効果的な出展位置を確保するためにも、できるだけ早い段階での始動が重要となります。
申込み → デザイン確定 → 発注 → 搬入 → イベント → 撤去→ 次年度プロジェクトへ
この流れを早めにすればするほど、様々な企画内容を練る時間が生まれるだけではなく、各ベンダーの割引期限(Discount Deadline)適用によるコストの最適化も可能となります。また、提出書類を一元管理は、ミス防止にもつながります。
結論:Union(組合)・搬入搬出・防火安全・保険・通関などの規制を理解することが重要です。
荷物受け渡し、電気工事、リギング、フォークリフト等を使用する際はUnionスタッフ経由の手配が必須になる会場が多く、出展者が自力で作業できる範囲は限定されます。
会場ごとに定められたターゲットタイム内での搬入搬出が求められ、遅延やオーバータイムは追加料金(Overtime、After-hours)の対象になります。各イベントの Exhibitor Manual が最優先されるため、Manualの事前確認のみならず、(コスト超過になないための)着実な遂行が重要です。
高さ制限、電源位置、消防通路の確保など、NFPA 701 等の基準や会場独自のルールが適用されます。日本の基準と異なる場合があるため、設計段階での確認が重要です。
多くの展示会で賠償責任保険(COI)の提出が必須。主催者や会場を追加被保険者に指定する形式が一般的で、金額や書式の要件が細かく定められています。
ESTAやB1ビザ で許容される業務範囲、展示品の一時輸入に必要な ATA カルネ、さらに州税(Sales Tax / Nexus要件)への影響など、事前確認が必要です。
結論:オプション前提の料金体系と Drayage(館内搬送費)などの追加費用が総額を押し上げます。
日本の展示会はブースパッケージ(壁・照明・カーペット等)込みが一般的ですが、米国は「スペースのみ貸出」が基本で、多くがオプション扱い。組合労働者の時給は概ね120〜180米ドル、時間外は25〜50%の割増。作業指示や立ち会いも英語対応が前提です。
会場搬入口からブースまでの館内運搬費。重量100ポンド(約45キロ)あたり約120米ドルが相場で、中型ブースで2,000米ドル超になることもあります。日本ではドレイジ費用は、通常配送費に含まれますが、アメリカは別建てとなりますので注意が必要です。
大型展示会開催時は宿泊費が平常時の1.5〜2倍に高騰。主催者公式ホテルブロックの早期予約がコスト削減の鍵。チップ(10〜20%)も必ず予算化が必要です。
結論:専門用語を含む英語調整、Unionとのやりとり、現場の即応・即判断など、アメリカの展示会は現場対応力とスピードが求められ、ローカルパートナーが不可欠です。
日本のように「事前打合せで全て確定」ではなく、現場で頻繁に仕様変更が発生します。英語での交渉力や決断の速さがないと、搬入や設営が滞るリスクがあります。
日本からでは時差の関係で即時対応が難しいですが、現地サポートがあればその場で解決が可能。輸送トラブル、電力トラブル、搬入制限など、展示会特有の緊急対応も安心です。
JTB USAなら日英バイリンガルで現地業者との交渉とスケジュール調整が可能です。施工、物流、通関、保険、現場ディレクションまで一気通貫で支援します。ローカルサポートは「便利」ではなく、トラブル防止とコスト最適化の鍵となります。
結論:イベント後すぐの対応が成果を左右。48時間以内の一次接触と段階的なナーチャリングのルール化がROIに大きく影響します。
60年以上にわたり、JTB USAは全米で企業のMeetings & Eventsを支援し、その豊富な経験は展示会の現場でも確かな強みを発揮しています。 旅行業で培った「人・モノ・移動」を統合的にマネジメントする力を活かし、展示会では施工・物流・運営を一体化したプロジェクト設計を実現。 企画から当日運営、事後フォローまでをワンストップでサポートします。
アメリカの展示会では、ルールや慣習、コスト構造が日本とは大きく異なり、Unionとの交渉や安全基準への対応など、現地ならではの課題にも即応できる専門知識と実行力が必要です。 この「現場力」と「戦略設計力」を兼ね備えたパートナーこそが、出展の成果を左右します。
出展準備から現場運営、イベント後のフォローアップまで、JTB USAをパートナーに。
